FC2ブログ

落窪物語 第三章

さて幸せが続くと思いきや二人に風雲が~~~

右大臣は一人娘の行く末をどうしようと悩んでいます。
女御にしても今の帝は大将の女御を寵愛して男宮二人もおいでここに入内して自分亡きあとが不憫。
それなら今帝の寵愛の深く後ろ身の少ない女君が一人の妻が一人しかいない、
正妻のいないと考えた男君を婿にと娘の乳母と男君の乳母を通じて結婚の話をもちかけます。

乳母は大乗り気右大臣の後ろ盾またとないチャンス。
実家に来た男君にせっつかせますが、まったく聞く耳なし。

もったいない話に乳母は勝手に結婚をすすめてしまいます。
右大臣家では婚儀の準備に調度品や装束などなど大わらわ。
そんな様子も噂になり、二条の女房の耳から衛門にも入ります。

女君に話すと聞いていません。
母君から入った話でお断りできないかも。
そのうち話してくれますよと表向きは聞き流しています。

衛門は不服そうです。しかしこの話を知らない男君はそんな話もしません。
不安な女君おのずと表情にでてしまいます。

女、心憂しと思ひたるけしきや、なほ少し見えけむ、中将「思すことやある。御けしきにこそ、さりげなれ。まづは、世の人のやうに、『思ふぞや、死ぬや、恋しや』なども聞えず、ただ、いかで物思はせたてまつらじとなむ、初めより思へど、わづらはしきけしきの、このほど見ゆるは、いと苦し。心憂しとや思さむとて、初めも、さいみじかりし雨に、わりなくて参りしを、足白の盗人とは興ぜられし。そほどおのが思ひし。なほ宣へ」と宣へば、女「何事をか思はむ」、「いさ。されど、御けしき、いと苦し。思ひこそ隔てたまひけれ」と宣へば、

ゆうつな様子の女君に「なにか悩んでおられますね。そんな様子です。今の男たちはあなたを愛している。愛するあまり死にそうだ。恋しいとかは言わないが、ただあなたを思い悩ませまいと思っているのに。そんな様子を見るのは辛い。通い始めた頃も激しい雨の中盗人よばわりされてもあなたに思いわずらわせまいとしたのに。さぁ言ってください」女君「なんにもございません」「いやそんな様子だよ。様子が苦しそうだ。そう隔たりをもたれては。」

女、
    へだてける人の心をみ熊野の浦のはまゆふいくへなるらむ
隔てて来たという熊野の浜の誰かの心を見ると、浜木綿は何層にも重なり合っているのでしょう。

男君「あな心憂。さればよな。なほ思すことありけり。

ほら心苦しい 本当に 心悩ます事があるのだ

真野の浦に生ふるはまゆふかさねなでひとへに君をわれぞ思へる
心ならでや物しきことも聞きたまはむ。なほ、宣へ

真野裏に生いる浜木綿が葉を重ねる私は重ねてしまわず一重にあなたを愛しています。
なんのお悩みですか?聞きたいのです。さあおっしゃい。

確かな事ではないからと女君おっしゃらない。

衛門はたあrず帯刀に男君の結婚話に詰め寄る。
帯刀タジタジ~~~~「殿に聞いてみるよ!!!」


中将、殿に参りて見れば、春の庭を見出だしておはす。
いとおもしろき梅のありけるを折りて、「これ見たまへ。世の常になむ似ぬ。花の色あひを御覧じて、これに慰みたまへ」と宣へば、
男君実家の邸の庭に美しく咲く梅を見て手折り、女君に文する。
「さあ これを見なさい。この世のようだ。この花の色を見て悩んでいる事の慰めになるでしょう」

女君、ただかく聞えたまふ。
    憂きふしにあひ見ることはなけれども人の心の花はなほ憂し とてなむ、花につけて返したまへれば、

つらいめにあうことはなくなったけ人の心が花のように移ろうのはやはりつらいと花につけて返歌する。

中将、いとあはれにをかしと思す。
なほ、あれ異心ありと聞きたるにやと苦しうて、たち返り、「さればよ。思ほし疑ふことこそありけれ。さらに罪なしとなむ、ただ今は思ひたまふるを、まろが心のほどは、まほ見たまへ」とて、
    憂きことに色はかはらぬ梅の花散るばかりなる嵐なりけり
つらいことでも色はかわらない。 梅は散るだけだ。

やはり私がほかの女に気をひかれていると思っているのだ。
あぁそんな悩みや疑いをお持ちになることはない。私は潔白だ。今の私の心だ さあ見たまえ。

と、「おしはかりたまへ」と宣へれば、女、
    「誘ふなる風に散りなば梅の花われや憂きみになりはてぬべき
とのみぞあはれに」とあるを、いかなることを聞きたるにかあらむ、と思ひたまへるほどに

誘うかとか聞く風に梅の花が散る。そのようにあなたの心が誘われ散ってしまうならば、とてもつらい身になってしまうに違いない。

どういう噂をきかれたのか??と不審に思われるところに乳母登場

「あの右大臣の姫君との縁談 結婚が四月にきまりましたからそのおつもりで!」と男君にせめよります。
男君笑いながらこちらがいやだという縁談をまだ持ち出してきて・・・妻がいるのです。と反論

乳母は今どきは何人も妻がいるのは世の常それに今の二条の方は後ろ盾もいらっしゃらない人ですし。父君は上達君ではありますが、落窪などと貶められていた人でしょう。
男君今時とかどうでもいい。古めかしい人だと思われてもかまわない。落窪だろうと上がり窪だろうとそんな名はどうでもいい。
と声をあらげているところにに帯刀参上

この乳母は帯刀のお母さん
息子くいつきます。

「若君がこうおうせなのに。なぜ勝手なことをするのですか!
この二条の北の方を落窪など失礼な事です。
若君の意思を尊重しないといけないのに何故いやがる事をするのです。と」大激怒。あげく」「若君に申し訳がたたない。法師になる」と言い放ち髪を太刀で切ろうとします。

この帯刀は乳母の唯一の息子ここで出家されては家の存続の危機
泣く泣く「法師になんてさせませんと結婚話を白紙に戻すようにします」と降参

帯刀ニンマリ~~~~
乳母はさっそく右大臣邸へ「通っている女がいますので辞退される」旨を連絡され、右大臣家の話は立ちきれになってしまいました。

中将の君は、女君の例のやうならず思ひたるは、このこと聞きたるなめりと思しぬ。二条におはして、「御心のゆかぬ罪を聞き明らむつるこそ、うれしけれ」、女君「何事ぞ」、「右の大殿のことなりけりな」と宣へば、女「そらごと」とて、ほほゑみて居たまへれば、「物ぐるほし。帝の御むすめ賜ふとも、よも得はべらじ。初めも聞えしを、ただつらしと思はれきこえじ、となむ思へば、女の思ふことは、また人設くることこそ嘆くなれと聞きしかば、その筋は絶えにたり。人々とかう聞ゆれども、よもあらじと思せ」と宣へば、「さ思はむも、下くづれたるにや」と言へば、「『思ひきこゆ』と聞えばこそ、あやしとも宣はめ、『ただつらき目見せたてまつらじ』と聞ゆれば、志のあるかは」など聞えたまふ。

男君は女君の悩みの様子の原因を知り、二条に行って女君に言いました。
「あなたのお悩みの原因がわかりました。嬉しい事です。」
女君「なんのことです?」
男君「右大臣家の縁談でしょ」
女君「嘘だわ」と微笑みます。

「あぁありえません。女宮を降嫁すると言われてもお受けいたしません。初めにいいましたがあなたに辛くい思いをさせまいとだけ考えていました。女は外に妻や恋人がいるのが一番つらいと聞きます。私はそういう事とは縁を切りました。人からそんなうわさを聞いても動じずにそんな事はないともってください。」
女君「そうは思っても和歌にあるようにがけ下が崩れるのでは」☚和歌で恋心が崩れていくという意味

「愛しています」といえば怪しいとお思いください。私はあなたに辛い思いをさせまいといっているのです。
愛情があるのかなんてご存知しょ。

なんとか無事にきりぬけましたね。
当時は女は嫉妬してはいけません。それだけで離縁される事もあるのでした。

かく思ふやうにのどかに思ひかはして住みたまふほどに、はらみたまひにければ、ましておろかならず

二人のどかに新婚生活を満喫して過ごしているうちに女君が懐妊され、男君の愛情はますます深くなるようです。

姫君救出が昨年の旧暦11月頃、それが梅の花咲く頃なので旧暦の1月に男君の結婚事件が起こります。
そして春前に懐妊。すごい順調な展開です。妊娠は男女の契りの証が強い証拠だそうで。多くの子に恵まれるだけでも母親は大きな影響力が出るのです。そういう意味で中納言家の北の方(男3人・女4人)がおおいばりしていたのはまあありといえばあり。

そんな時に賀茂祭りの見物に大将家から女君も招待されました。
母君直接の面会をご所望です。男君嬉しくて「なんだかんだ騙して連れてきます。」と二条で「母が会いたい祭りに招待したいといってますよ」ともちかけます。
女君は「妊娠で悩ましいし、見苦しい姿(妊娠中)他の人に見られるのは恥ずかしい」というと、男君「他人はみません。母と三の君は私が見ているのと一緒とおもってください」と説得すると「男君のお考え通りに」と消極的に同意します。

桟敷席は大変立派な場所を作ってまるで極楽のようで衛門たちも大興奮。
そこへふっくらしたお腹をして幸せそうな姿の女君登場綾の紅の単、袷の着物、二藍色の表着に濃い二藍色の小ネ圭衣装も立派です。
はじかんで可愛らしく美しい姿の女君をすっかり母君も妹の三の君も気に入り、母は「なんだか落ち着かなくて少しも話が出来なかったわ。一緒に大将邸へいらっしゃいな。男君が自分だけの物にしたいから急いで連れ帰そうとしているわ。聞いてはだめよ。あの子は悪い子よ。」なかなか茶目っ気のある母君です。
なんとそのまま大将家へ。
大将も十分にお世話されて大もてなし四、五日滞在し「落ちついたらまた伺いします」と二条邸へ帰ります。

さて女君いったい何歳なのか?
男が通いだした頃その下の四の君の年齢を13・4歳と言っています。話の筋でいくと女君はそれよりも上。
そしてこの時の大将家の三の君と同い年と本文にあります。
三の君は婿を迎えたばかり結婚適齢期。
当時の結婚適齢期を裳着の計算でするとだいたい15歳前後となるとこの時期だと15~17歳か??という感じですかね。
今の年齢でいけば当時は数えで計算したので中学二年~高校一年くらい
すごい苦労ですよね。

さてもう落ち着いたと思った女君はそろそろ父に居場所を知らせたいと男君にうったえるもまだ立派な身分でもないし、あちらはまだ死なないよ。

と復讐は終わっていないようです。こわこわ~~~~

翌年正月十三日玉のような美しい男君が誕生しました。
乳母頭には男君の乳母が選ばれます。乳母は丁度子供を出産したばかりの少納言が努めます。

何かと後ろめたい乳母ですが、女君の様子に確かに多くの縁談をお断りになるのもまったくもっともだと納得。
その年の徐目で大将は右大臣に蔵人の少将は中将に、中将は中納言に昇進しました。

右大臣は孫が生まれた年に揃って昇進とは幸をもたらす子だとたいそう愛されました。
男君また衛門督を兼ねて、中将は宰相(参議の資格を持つ)に、なると中納言家はすっかり寄り付かなくなった三の君の元婿に未練タラたらです。

さて翌年またまた男君が誕生して、大臣の北の方がこの子はうちで預かるわ。と乳母と一緒に大臣邸へ。

こういう事はよくあるみたいでした。次男はやはり長男に比べて位が低くなるらしく、後見役はおおいほどいいということでしょう。

中納言家は世間が面白くなく邸に籠る事が多くなり、また方替えも考え、丁度女君の母方の邸が三条にあったのを落窪がいなくなったのだから私が使って差し支えないと荘園の二年分の経費をかけて邸のリフォームを開始します。
北の方も大乗り気です。


そんなおりまた祭りの時期になり今度は男君だけで物見するために牛車の場所取りのくい打ちをしていました。
場所取り済だから遅くいってもいいと、出発されるとなんとお元の者がが~~!と増えて大人数になってしまいます。
運悪くくい打ち分だけではたらなくなりました。
すると男君前にある貧そな車に目をつけて後ろに寄せて場所を譲れと随身に命令します。
なんとそれが中納言家の車でした。ここぞとばかり男君ひきません。中納言家の随身も引き下がりません。
とうとう乱闘騒ぎになりました。
あの典薬の助は冠を落とされ。禿頭が丸見え、聴衆の大笑いを受けさらに男君の随身にぼこぼこに叩かれ、瀕死の重傷をおいます。
中納言家の車も壊れ中の北の方は車から投げ出される始末で。これも皆から大笑いにされます。
それでもなんとか中納言家へかえり、殿に愚痴ります。話を聞いた中納言「法師になりたい」と嘆きます。
さすがにこの事件は男君の父の耳に入り、男君に行いに注意するようにと苦言をていされます。

二条邸では女君がこの話をききつけ、

女君は、いとほしがり嘆きたまへば、衛門「さはれ、いたくな思しそ。あいなし。おとどのおはせばこそあらめ。典薬が打たれしは、かのしるしや」と言へば、女君いとむつかりける。「わが人にはあらで、君の人になりぬ。それこそ、かく物は執念く思ひ言へ」と宣へば、「さらば、衛門、わが君には仕うまつらむ。衛門が思ひし限りのことをせさせたまへば、げに、御前よりも、宝の君となむ思ひたてまつる」と言ふ

女君父たちが憐れに不憫におもいます。
衛門はそんなに思ってあげなくても。殿がなさってくれた事でございます。典薬を激しく打ちなさったのもその証では。さすがに不快に思った女君衛門にぴしゃり!
「私のお付きの者とは思えない。殿の御付きにおなりなさい。」衛門もひきません。「では衛門殿の御付きになりましょう。衛門が思うことを殿がしてくださいます。御前さまよりも大切に思ってお仕えします」
なかなか強気です。筆頭女房の貫禄ですね。

さて季節は夏三条邸が完成しました。さあお引越しの中納言家

衛門聞きて、男君の臥したまへるほどに申す、「三条殿は、いとめでたく造り立てて、皆ひきゐて渡りたまふべかなり。故上の『ここ失はで住みたまへ。故大宮の、いとをかしうて住みたまひし所なれば、いとあはれになむおぼゆる』と、返す返す聞えおきたまひしものを、かく目に見す見す領じたまふよ。いかで領ぜさせ果てじ」と言へば、男君「券はありや」と宣へば、「いとたしかにてさぶらふ」。「さては、いとよく言ひつべかなり。渡らむ日を、たしかに案内してよ」と宣へば、女君「また、いかなることを、し出だしたまはむ。衛門こそけしからずなりにたれ。ただ言ひはやすやうに、いみじき御心を、言ふ」と怨みたまへば、衛門「何かけしからず侍らむ。道理なきことにも侍らばこそあらめ」と言へば、男君「物な申しそ。ここには心もおはせず、御なめあしき人は、『いとあはれなり』と宣へば」、「わが身さいなまるる。よし」とて笑ひたまへば、衛門心得て、「いかがは申すべき」とて立ちぬ。

さてさてこの三条は元元女君が母系から受け継いだ元大宮邸でした。
それを土地の権利書もなく邸宅を立ててしまったのですからそりゃ悪だくみの種にされるでしょう。
男君衛門に権利書はあるんだなと念押しして衛門確かにあると回答。
いつ引っ越しするのか聞き出してくるように指示しま今月の19日と聞き出すことに成功
しかも衛門に中納言家の優秀な女房や下使えを個別ヘッドハンティングしてこいと指示~~~OKと衛門
悪巧みコンビですね。

女君に申したまふ、「人の、いとよき所得させたるを、この十九日に渡らむ。人々の装束したまへ。ここも修理せさせむ。疾く渡りなむ。いそぎたまへ」とて、紅絹、茜、染草ども出だしたまへれば、ひとへに、かく構へたまふことも知りたまはで、いそがせたまふ。

女君には反対されるのは目に見えているので他の人に新しい邸をもらった19日に転居するから装束なんかいろいろ準備してね。
ここも修理させるよ。さあ急ぎなさい。と計画を察知されないように女君に言います。

いそぎ衛門は声がけして、いい人材を二条邸へ出仕させます。
それぞれ内緒で二条邸へ鞍替えしているので、見知った顔を見てびっくり!そこへ衛門登場その日は女君厚さでまいていて男君が初見えに
いと濃き紅の御袴、白き生絹の御単、薄物の直衣を着て、出で居たまへるさま、いみじうなまめかしう清げにおはす。
もうぽ~~~~と女房達

びっくりさらに3歳くらいの男君を抱いた少納言まできてびっくり!!!
皆嬉しくて懐かしい思い出話にワイワイ~~~~

さて三条邸では明日に中納言家が引っ越すというので下人達が先に入ろうとすると、男君の家司但馬の守、下野の守、政所の別当衛門の佐、雑色などの下人たちが随身と共に仁王立ちになって警護している。
しかもここは衛門の督の殿の土地にて警護している一歩も入るな!と追い払われます。

この話を聞いた中納言あきれるやら困惑するやら、なんせ2年分の荘園の蓄財をつぎ込んだんですからたまったもんじゃありません。早速右大臣邸へ拝謁して事の状況を相談し、男君に邸を返してもらおうとします。

しかし右大臣ここで冷静でした。

中納言にまずは衛門の督に聞いてからでないとなにも出来ないと、中納言を一旦返します。
もう呆然の中納言一家、老体にはきつかったのかもう外出する気力もなくなりました。
そのころ、長男の越前の守も都に帰っていたので、実家の一大事、中納言の替わりに男君の所へ懇願しにゆきます。
しかもアポなしで。
対面は許されましたが、簾越しでしかも男君は長男のぼくを膝に乗せて、白の生絹単と下袴の下着姿。
越前の守の話も適当に子供をあやしています。越前の守は腹立たしいが、そうはいっても身分上の男君が相手です。
地権はなくしたがあそこはうちの邸です。と弁解します。男君の負けていません。あそこは買ったのでもかく、奪ったのでもない。地権もある。私こそここの真の持ち主です。中納言に屋敷にくるように見せましょう。

そりゃそうでしょ。平安時代にも土地の権利を明確にする権利書がありました。
やはり土地の権利にもたびたびこういうごたごたがあったようで、その争いで暴行事件や殺傷事件がありました。
金土地関係は怖いですね。

この後父右大臣に三条邸の詳しい経緯を話すと右大臣もそれではどうこうあちらはいえないね。券を見せなさい。勿論と回答します。
で行為を黙認。
八方ふさがりの中納言家。

この対面を簾越しに見ていた女君ここで初めて三条邸だったと知ります。

女君、つくづくと聞き見たまひて、「この渡らむとしたまふ所は、三条にこそありけれ。また、まろと聞えむものを。年ごろ造りて、渡らむとしたまふらむに、妨げたらむには、いかに思すらむ。親の嘆きたまふらむは、罪いと恐ろしく。仕うまつる人だにこそあれ、かくしたまふことを妨げたまへば、嘆かせたてまつるが心憂きこと

父の事を思って嘆いています。
ってか殺してしまえと言われたのに!!!いつまでもいい人の女君でした。

そして男君女君三条邸へIN
さすがに二年分の蓄財をかけただけのある三条邸大変美しい寝殿造りのようです。
まあ平安時代は女の実家か持ち物に邸宅を建てるのが一般的でしたから、これはある意味女君の世間体を満足してもらる材料ではあります。

落窪の君の母の死ぬとて、かの子に取らせおきしを、われも忘れて乞ひ取らざりしほどに、かく失せたるぞ。何か、それが売りたるを買ひて、かくしたるぞいみじう人笑はれなるわざかな。公に申すとも、この殿の御世なれば、誰か定めむとする。多くの物を尽して造りてけるが、いみじきこと。時にあひたまはず、物あしき人、いみじきものなりけり」と、空を仰ぎて、ほれてゐたまへり。

中納言諦め状態

さあ衛門の督一家三条邸へお引越ししかも越前の守に調度品は祝賀の宴会が終わる三日後まで渡さないと断言。
これ北の方が散々取り上げた女君の調度品に対しての嫌がらせですね。

四日のつとめて、越前の守参りて、「今日だに賜はらむ。人々の櫛の箱などやうの物こめて、いとあしくなむ」と、わび申せば、いとをかしがりて、皆目録して返したまふ。

宴会が終わり、越前の守に目録と共に品を返還します。


男君「かの昔の古蓋の鏡の箱はありや。これに添へて返したまへかし。北の方、宝と思ひためりき」と宣へば、衛門、興じ喜びて、「衛門がもとに侍り」とていとただならむよりはとて、「しるしばかり物書きつけたまへ」と申したまへば、女君「いで、いさや。いとぼしきついでに知られたてまつらむこそ。苦しき」と宣へば、「なほなほ」と申したまへば、鏡の敷をおし返して書きたまふ。
    あしくれは憂きこと見えします鏡さすがに影ぞ恋しかりける
と書きたまへり。

その時に男君思い出したように女君に渡した古ぼけた鏡箱を思い出しました。あれも返せ。
しかも女君にここに歌など書いて返せと女君の存在をしっかり見せる事にします。
逆らえない女君いやいや書きます。

色紙一重に包みて、物の枝につけて、「越前の守呼びて取らせよ」とて、衛門に取らせて、越前の守召して、「いかにあやしう思すらむと思へど、御消息もせで渡りたまふと聞きしかば、あやしうてなむ。このいとほしかりかしこまりも、みづから聞えはべらむ。この券もたしかに御覧ぜさせ、聞ゆべきことも侍り。『今日明日のほどに必ず立ち寄らせたまへ』と、おとどに聞えさせたまへ。そこたちも、ただ今、便なきやうに思ふらむ。つひにここにぞ言ひ語らはむ」と宣ふ。御けしき、いとよし。越前の守、いとあやしと思ふ。「おとど必ず立ち寄りたまはば、やがて御供に、そんこにも物したまへ」と宣へば、承りて、歩み出づるに、衛門、妻戸のもとにて、「ここに立ち寄りたまへ」と言はすれば、いと覚えなくあやしと思ひながら寄りたり。

帰りに人の声がしてこちらにきてください。
誘われるま近ずきます。

袖口いと清げにさし出だして、「これ、北の方に奉らせたまへ。昔いとやむごとなき物に思かたりし物なれば、今まで失はせたまはざりけるは。この御物どもの返り参るにつけて、思し出でさせたまひてなむ」と言へば、

簾の中から袖だけだして、「これを北の方にお返しください。昔大変りっぱな品だそうなので大変大切にしてなくさないようにおりました。」と箱が出てきた。

いとあやしと思ひて、「誰が御消息とか物しはべらむ」、「ただおのづから思ひ出できこえたまひてむ。私にも、声ばかりこそとは聞き知りたまはずや」と言ふ。あこきなりけり、この殿にこそありけれ、と思ひて、「布留の都をば忘れたまひけるなめれば、何かは知りげにも聞えはべらむ。まめやかには、この殿に参りはべらむ時には、知る人に尋ねきこえむ」と言ふに、「さても、またもさぶらふは」とて、さし出でたり。少納言なり。あやしうも集まりたるかなと思ふに、また奥の方に、「目並ぶと言ふなれば、まろは驚かしきこえじ」と言ふ声を聞けば、中の君の御もとなりし侍従の君なり。越前の守の思ひて時々住みける。かくのみかしこの人の声にて言ひかくれば、心ちもあわてて、いかなることならむと、あやしうて、えいらへやらず。

え!!どなたですか?と問いかけると「この声に覚えはありませんか?」阿漕なり。ここに仕えていたのか。と思えば今度は中納言、元彼女の侍従の君としった女房達もわんさか越前の守????????

衛門「三郎君と聞えしは、今は何にてかおはすらむ。御冠やしたまへる」、「しかじか、この春なむ大夫といふめる」といらふれば、「『必ず参りたまへ。対面に聞ゆべきことなむ積りて』と聞えたまへ」と言へば、「いと安きこと」とて、この包みたる物いとゆかしうて、急ぎ出でたまひぬ。

衛門が三郎君はお元気元服されましたか?と問うと「この春に大夫五位をいただきました。」「必ず立ち寄られるようにお伝えください」「たやすいことです。」と急いで帰宅した。

 道々かの殿のさま思ふに、いとあやしく、落窪の君の、この妻にてあるにやあらむ、あこきといひしが、けしき、いとやかなり、また、あつらへたるやうに、かしこの人の集まりたるは。思ふによそ人のあらむよりは、さりともと、いとうれしき。さるは、北の方の懲ぜじさまも、国にのみありて、見ぬなりけり

帰り道変だなと思いもしかし落窪の君が殿の妻だろうか?阿漕といいわが中納言家の縁の人たちが多いのは大変嬉しく頼みしいと思っています。この人ずっと越前にいたので北の方のいじめを知りません。
まあ知っていても黙認したでしょうがね。

 中納言殿に来て、おとどに「かうかうなむ宣へる」とて、この包める物を北の方に奉れば、「あやしう、覚えなう」とて引きあけて見るに、おのが箱なり。

邸に戻りと父にこうでした。阿漕に渡されたものを北の方に見せ、開けるとあの落窪に渡した箱にきずきます。

落窪の君に取らせしにこそあめれと見るに、いかなることならむと思ひ、肝心も騒ぐに、まして底に書けりける物を見るに、むげに落窪の君の手なれば、目も口も、はだかりぬ。この年ごろは、いみじき恥をのみ見せつるは、くやつのするなりけりと思ふに、ねたう、いみじきこと二つなしとは世の常なり。一殿の内、ゆすり満ちて、ののしる。

あ~~~~~~間違いなく落窪の手による和歌!こんなにいままで恥をかいたのはやつのせいだったんだ。
がy~~~~~~~~~と怒り心頭。

 おとど、家取られて、いみじき仇敵と思ひし心ち、わが子のしたるなりけりと思ふに、罪なく、さきざきの恥も思ひ消えて、「子どもの中に、さいはひありけるものを、何しにおろかに思ひけむ。かの家は、この人の母の家にて、ことわりなりけり」と、言ひいます。

おいおい殺してしまえといっていた娘に出世した男君の正妻になっていたらころっと寝返りそうとうやばい人・・・・。


 かかれば、北の方、ねたく、いみじくて、けしき我にもあらで、「かの所をこそ、さも領ぜられめ、この年ごろ造りつる草木を、物入れて。それ運び取りたまへ。家買ひたまふ価にこそは渡したまはめ」と言へば、越前の守「こはなでふことぞ。さらむ、よそ人のやうに物したまふかな。おのづから、この族に、はかばかしき人なくて、見つくる人に『面白の駒は、いかにいかに』と笑はるるが、はしたなきに、同じ殿ばらといへど、ただ今の覚えのたぐひなき人にいふ得て、ねんごろになりぬるこそ頼もしくうれしけれ」と言へば、

北の方「あの土地はそうかもしれないが木々や草なんかはこちらが手入れして運んで入れた物だ返してもらう!!!それで別の家を買うわ!」というと、越前の守「そんなせこい。他所の人でなく一族の者が立派になったのだから。殿上しても面白の駒は元気か」などと笑いものにされて辛いのに。せっかく今を時めく一族の仲間に入れるんだから頼もしいし嬉しいではありませんか・
というと元三郎君が

大夫「いでや、それはことか。この君の、懲ぜられたまひし」と問へば、「いかばかりか、うたてありしこと」とて、片端よりつぶつぶと語りて、「いかにあこきなど言ひつらむ。見えたてまつらむにつけてこそ、恥づかしけれ」と言へば、
「兄さんは越前にいて知らないが母はたいそう姉君をいじめぬいて大変恥ずかしいこともしていたのです。」

越前の守、爪弾きをして、「あないみじ。おのれは国にのみ侍りて、知らざりけり。あさましきわざをこそは、したまひけれ。この衛門の督は、思ひおきたまひて、かく恥を見するやうに、したまふなりけり。われらを、いかに思ひたまふらむ。すべて交らひもせずやあらまし」と恥ぢまどへば、


その話を聞いて越前の守大切れ「ああぁなんてことを私は国にいて知らなかった。なんて軽率な事をしたのか。だから衛門の督さままこちらにあんな辛い恥をかかせたのだ・私たちをどうおもっつたか。かといって交際しないわけにはいかない。」

北の方「あなかしがまし。今は取り返すべきことにもあらず。な言ひそ。憎くおぼえしままに、せしぞかし」と言ふに、かひなし。

「ぁぁうるさい!今後悔したってしかたない。だって憎かったからしかたない」

この人本当に性根が悪い。というか人間的

 「少納言、侍従なども、かしこにこそありけれ」と言ふを、御達聞きて、「われら、などて今まで参らで、癈ひたる世を見つらむ」とて、うらやましう、いみじうて、「今だに参らむ。御心は、めでたかりしかば、寄せたまひてむ」と、若き者どもは、言ふ。

こちらにいた女房もたくさんいましたよ。中納言家の女房達はここに奉公していることに後悔しました。
っていうかお眼鏡にかなわなかっただけですねよ。


はらからの君達、あさましと思ふなかに、三の君は、わが夫取りたる人の類なれば、近うて聞きかよなむを、ねたしと思ふ
四の君は、われをはかりて、かう憂き身になしたる君なれば、異人よりも、見むにつけて、いみじく心憂かるべきを思ふ。かのいつしか孕みし子は三つにて持たり。父にも似ず、いとをかしげなる女君なりけり。わが身、心憂し、尻になりなむ、と思ひけれど、この児の、いと愛しうおぼえければ、ほだしにて、え思ひ離れであるなりけり。少輔は、いと憎き者に思ひしみて、すげなくのみもてなしければ、来わづらひてなむありける。

二人の女君は自分の災難が何故かこの時知ったのです。

無視の罪裁かれる。ですね。

衛門の督に三条邸へくるように言われた中納言ですが、もう夜になっていたので明日に参上することにしました。

中納言と越前の守出かけます。

続く!
すごい簡略版で訳しています。ご容赦くださいませ。
スポンサーサイト

テーマ : 本の紹介 - ジャンル : 本・雑誌

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

フリーエリア