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とりかへばや物語 第四章 

二人揃って父の左大臣邸へ。

暗き程にまぎれて京におはし着きて、此女君をば督の君のおはしまししやうにその御方の御丁の前に入れ奉りて、男君は御前にさぶらひ給て、殿見奉り給に、とりかへばやの御嘆きばかりこそ変はる事なりけれ、うれしきにも、涙にくれてえ見奉り給はず。いみじくうつくしげになつかしうはなやかなる女の、髪はつやくゆらくとかゝりていといみじくめでたく、なよゝかなるさまにて居給へるも夢のやうに、えもいはず清らなる男にてありつき、びゞしくてさぶらひ給もうつゝともおぼえず、又いかゞなり変はり給はんと、あやうく静心なきぞことはりなるや。月ごろの事どもなど聞え給て、「もとよりかゝるべかりし御さまどもの、いとめずらかなりし。をのく御心たがひなく、此まゝにてものし給ふべきなり。かたち・さまの異人ならましかば、あしくも有べかりけるかな。いさゝかたがふ所のなきこぞ、あさましく、さるべかりける事かなとおぼゆれ。今ははやう大将にて交らはれよ見るに、つゆたがふ所なし。
少くあはらぬ人と見ゆともいかゞはせん。論じあらがふ人あらじ。右の大臣のむすめ、権中納言わざと添い居てあつかひ窓ひけるが、大臣も勘事許して、我殿に迎へられにけり。げにうちくこそさま異なる事どもも思へ、人聞きびんなしや。たがためにも

夜の暗いうちに邸宅に入り、もともと尚侍の帳台へお連れして男君が傍に座っているところに左大臣が入ってくる。
女君をご覧になると「とりかえたい」と思っていただけで見るとかわりなく、大変うれしく涙で女君が見えない。
女君は大変愛らしく美しく親しみやすく華やかな人で髪を大変ゆらゆらと肩にかかって美しく優美でなよなよして夢のよう。
男君はえもゆわれる清らかな男で格好がよくそのにおられるのも現実の事とは思えない。
「どういえかわったというのか?」思うのもしかなたい。
「もともとはこうあるべきであった。二人の気持ちが変わらないうちに入れ替わりなさい。少しも違いがない。右大将として出仕なさい。誰が違おう。理屈をいって事をあわげる人がいない。さて右大臣家の四の君は中納言が世話をしていたが勘当をといて今は右大臣がお世話している。もう二人の運命も内内の事ですませられるよ。しかし世間の噂が気になるがね。」
とここは右大臣家への配慮をしなさいと右大将に言葉をこめている。

そんな中尚侍あてに東宮の梨壺から伝言がきた。具合はいかがか?東宮様には体調が思わしくなくいつ頃出仕なさるのか。内々にお話があるとのことだった。

かの右の大臣の御わたりの、思はずなりし事のまぎれをうむじて、吉野の宮には隠れ給へりけると言ひなして、内裏にも
とく参り給へ」といそがし給にも
左大臣は「四の君と中納言の浮気に耐えられず吉野の宮に隠棲していたのですとでもして。のさぁ右大将として出仕なさい」と男君に催促。

いかにうゐくしからんと我心もいとまばゆく、

さすがに大丈夫かな??と

世の人の物言ひも、いかなるにつけてもつきく ゛しきなれば、「大将は、権中納言の事に嘆きわび、吉野の宮には隠れ給ひて世の背きなんとおぼしけるに、此親王の御むすめ見つき聞え給ひて、世をえ背きはて給はぬ物から、猶都に立かへらん事は、このことの心やましさにおぼし絶えたりける

すると世間では「右大将さまは四の君と中納言の浮気に嘆いて吉野の宮に隠棲していたけど、その娘姉君がお世話して、とても出家せずにいたが帰京は諦めていた所。ご両親様がぜひもう一度姿を見たいと懇願されて帰京されたそうだ」と解釈して噂して喜んだ。

帝も聞こしめして、まづさまを変へず今まで世に物し給ける事を、限りなくおぼほしよろこびて、召しあれば参り給ふ

めづらしがり見奉る。御前に参り給へれば、とばかり御覧ずれば、久しかりつる月比のほどにいとゞこよなくなりまさりにける心地して、かほりあてなる所さへ添いにけり。あはれ、かゝる人のやがてさまを変へてましよ、いみじき世の憂へにこそあらめと、打まもらせ給て、涙をさへ落させ給ひけり。

帝も殿上人も全然入れ替わった事に気がついていません。
きょろきょろしていても久しぶりにきた宮中に思いにふけっておられるのだといい方向へ。
やはり吉野遠い地で修業をされていたのでりりしさまで備わったとすごく高評価です。

東宮の元にいくも御簾を隔てた向こうと男君こちらすごく隔たりを感じています。
帰宅して尚侍と宮中のお話
そしていよいよ四の君攻略へ、

男君和歌を贈る

目ならべば忘れやしにしたれゆへに背きもはてず出し山路ぞ

右大臣、右大将が帰京したのでお越しがあるかもと四の君を諭す。

すると和歌が!つかさず右大臣しっかり詠むのだよと念押し、四の君恥ずかしくしかたないけど再び勘当される恐怖で反論できない。

今はとて思ひ捨てつと見えしより有にもあらず消えつゝぞ経る

あてにおかしげなるを、残りゆかしく心とまりて、督の君に見せ奉り給へば、かたち有様はいとおかしげにこそありしかど、手もそゞろに見馴れたりしほどあはれに思ひ出られて、忍びの森のゆかりを、方く ゛ 心に離れぬ契りと思ひ乱れ給。


あぁそう大変上品で優美な筆跡はそのままと女君の懐かしく思って二人にも縁のある女だと思いが増す。
さて男君も東宮さまや吉野の姫君の事を考えているうちに時が過ぎて、右大臣家ではそのうち我が家へ右大将がお越しになるかもとあれこれ準備している。当の四の君は気が気でなく、だからといって自分が何が出来るのだと葛藤しているうちにもし右大将がこられたらみじめな姿を見られると思いだけで涙にくれる。
そんなだいぶ遅く夜になってから右大将が右大臣家を訪問する。

優美な姿はそのままでしりごみする四の君を右大臣がカツ!!!
ようやく膝行して右大将の元へ。

右大将はあれやこれやいままでの事を言い訳している。

世をうしと背くにはあらで吉野山松のすゑ吹くほどとこそ聞け

私との仲を辛いと世の中を出たのではなく 通われた方がいたからと聞いていますが。

げにかくぞ答へんかしと、いとにくからずほゝ笑まれて、

まったく答え方がうまい人なだ。と憎からず微笑まれながら


その末をまつもことはり松山に今はととけて波はよせずや

吉野山に吹かれる松があったとしても。あなたは待つしかないのですよ。
私以外の男を受け入れたのだから。


身のことはりを思ひ知りつゝも、なを恨めしかりし御心ばへを、背きぬべくやと、心みに吉野の峰の奥深くは尋ね入て侍しかど、おぼつかなきも忍びがたく、幼き人のあはれなど、わりなきほだしに人わろく思ひ返され侍にしもいと罪深きも、君は心やすげにうけ給りしこそ」など、こまやかにいとしたり顔に続け出で給へる、異人とは思ひ寄るべきにもあらず。答へん方なきまゝに

わが身のゆうつで身の置き場がなかったですよ。と柔らかにおっしゃる男の気配に「まあつまらない事を言って仕舞ったのか」と後悔して汗を流すくらい気にしている女のすべての罪が許されそうな様子だ。

たゞいみじくなつかしくあはれにうち語らひて過ししならひ、今しも変はるべきことならねば、さこそはとおぼすに、あさましき御心変はりを、今はじめたらんよりも恥づかしくいみじけれど、おびえ騒ぐべきほどならねば、嘆き乱れたるけはひしるきを、げにあやしからんとあはれにおぼす

この後二人は帳台へ、四の君はいつものようい夜話しのつもりだったが、男君が急に襲ってくる。中納言との初めての情交よりも恥ずかしいがおびえて騒ぐことではない。しかし変だと思っている。男君は乱れるままに「実際変だと思っているだろうな」と思っている。
いざ関係してみると中納言の事も吉野の姫君の事も気になるが浅からぬ方だと感じになるものの夜にしか通われない。
さすがに女も不可解ででもお顔は以前の方と違わぬ。しかし・・・・・・。

 見しまゝの有しそれともおぼえぬはわが身やあらぬ人やかはれる

 ひとつにもあらぬ心の乱れてやありしそれにもあらずとは思ふ
和歌の筆跡も似せてあるからますます????

一方中納言は宇治で若君を見ては涙する。
そのうち右大将が帰京した噂を聞きつけ、男姿に替わられたのだと呆れられ、若君と乳母を連れて式部卿邸へ戻る。
宮中で会議のある日は必ず出仕されるであろうと。その日に参内するとやはり参内しているが、声をかける雰囲気をまったくみせずにいる。

若君を、さる人ありきかしと、いかゞなりにけんと思ふべくやあらんと思ふに、恨めしくかなしく、人わろく涙にくれて出で給ぬ
すると完全に私を見限ったのだ~~~~がああ嗚呼人目のあるのに涙している。

夜もすがら思ひ明かして、なを忍ぶべき心地もせねば、
  見ても又袖の涙ぞせきやらぬ身を宇治川にしづみはてなで
さまく ゛書きやる方なく恨み尽くし給へるを、大将は見給て、有しそれとこそ見けれと、おかしくもいとおしくもおぼゆれば、督の君に見せ奉り給。常に、あらましごとにてだに、ひたおもてにあらまほしげにて過ぎにし方を恋ふると言ひあはめし物を、げにいかにあさましく思ふらんと、さすがに胸うち騒ぎてあはれなるに、大将は、我にはあらずとあらがひ給ふべきにもあらず、この人の世づかぬものぞかしと思ふらん心の中ひとつは、いとおしく恥づかしかるべけれど、我身を世になくきよめんとても、督の君の御事をあはつけきやうに人に見せ聞かせじと思へば、「たゞさ思はせて。御返りは、心とき人にて、見あやむるやうもぞ侍る。これ聞こえ給へ」と、せちに督の君にそゝのかし聞え

一晩中嘆き悲しんでもあきないので和歌を贈る。
お会いしたいのにわたしの袖の涙はせきかねるほどです。捨てられた身をつらいといって宇治川へ身を投げることも出来ない。
安易に若君の存在をほのめかしている。
右大将は「女君におもったな」と可笑しくてもあり気の毒もあったのでこの手紙を女君に見せる。
「昔の男姿をあざけっていたのに。どうしてとあさましく思っているか」ゆうつ
右大将はまぁ思わしトコ、尚侍様を世間の目にさらすわけにいかないから。
「まあ私がまだ女君とおもわしときなさい。 さあ見破られると困るから女君に和歌を返しなさい。」と

心から浮かべる舟をうらみつゝ身を宇治川に日をも経しかな

私の心からとはいえ、あなたの浮気心を恨んで宇治川の傍で日を過ごしていました。と書いた。
手紙を受けるとめったにない素晴らしい筆跡だと感激しながらももっともなことだと自分の傲慢さを反省して

いとゞしきなげきぞまさることはりを思ふにつきぬ宇治の川舟

完全にストーカーの中納言~~~~それは違うと・・・・・どんどんこの人おかしくなります。。。。。

さてそうこうしていると東宮の事も気になるので尚侍は内裏へ向かいます。


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